夜の町
公園や
公営団地 あるいは ハイウェイ入口付近
の
オレンジの光がつらなり
見知らぬ遠くを連想させる
幹線道路沿い
薄暗い路地
落書きだらけの商店のシャッター
もしくは
白いBMWの ダサいステーションワゴンが
眠る
ありきたりな戸建
閉まりかけの
スーパーマーケット
を
かすめながら
走り抜けるとき
自転車や
営業車 スケートボードや
早足で
そんなときは
19歳の音楽を聴くといい
おれはおっさんだけど
たまたま昔に産まれて
産んだ親にも
産まれたおれにも
責任はない
おっさんであることに
好きで昔に産まれたんじゃない
お袋だって 好きで昔に産んだんじゃない
おれの心は19歳のまま
あの
いろいろあった
19歳のまま
あるいは
14歳 もしくは 17歳
26歳 31歳
最近は
1歳や 10歳も手に入れて
58歳や 82歳や
そうそう
77歳や 39歳も
手に入れた
つまり
おれは何歳でもあるし
チューニングしだいだ
その時 その場 その気分の
だって誰のせいでもない
あんたがおれより
年寄りなことも
あんたがおれより
若いことも
誰のせいでもないから
夜の町では
19歳の音楽を聴こう
全ての音楽も
誰のせいでもなく
16歳だったり
20453692歳だったりするけど
だいたい19歳くらいの
チューニングしてるんじゃないかな
とくに 夜の町に似合う音楽は
なにせ
おれ19歳の頃
音楽は夜の町でしか
聴かなかった
いつも俯いて 散歩しながら
たまに上を向いて訪れた
夜の街では
いつもすべて 曖昧だったし
それにさあ
どっちにしても
昼は寝てたからね
いまは夜寝てるけど
たまに起きてる夜もあるんだ
町で生きてる
いまも夜だよ